 | 記憶の旅人 イライジャ・ウッド レイチェル・リー・クック ジャニーン・ガラファロ ジョー・ペリーノ ポニーキャニオン 2002-09-19
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□STORY
交通事故に遭い、生まれてから今までの記憶を失った少年、バーニー・スノウ。
自分の名前と、自分は赤い車を運転しているときに事故に遭ったということ以外は全く思い出せない。
思い出そうとすればするほど、深い霧の中に沈んでゆくだけ。
やがて治療を受けているホスピスで、様々な末期患者と出会い、友達になった。
そして、彼はマッゾのお見舞いに来た彼の妹、キャシーと出会った―
新しく降り積もる記憶。
不確かな過去。
バーニーは記憶を取り戻せるのか。
よしもとばななの『アムリタ』や、『とかげ』に収録されてる『らせん』を思い出させるようなストーリーですねぇ。
この映画には、単に“記憶を取り戻す少年の話”というだけでは終わらない、深いものを感じました。
例えば、死を自ら望む患者と、「殺人になるから」といって延命治療を続ける医師。
医療の進歩の裏に隠された、数々の努力。
辛いとき、支えてくれる人々の暖かさ。
そういうものを感じたけど、でも決して重い映画ではない。
むしろ「ここで泣け!」みたいな、感情の高ぶりを観客に押し付けるのではなく、
これを見てどう思うかは、受け取る人の自由という印象でした。
その距離の置きかたが、心地よかった。
「記憶を失う」という概念を基にした映像も美しかった。
幾つか印象に残った色は、バーニーが事故に遭ったときに運転していた車の赤と、
バーニーを演じるイライジャ・ウッドの瞳の青。
セットや役者の衣装には極彩色をあまり使わずに、中間色や彩度を落とした色を多用しているんです。
だから上に挙げた2色は際立って感じる。
季節も秋~冬にかけてですしね。
あとは、黄昏時の湖や、残光に浮かぶ海と金星など、風景もきれいでした。
でも何と言ってもやはり役者さんたちの演技でしょう。
イライジャの感情を抑えた演技や、
レイチェル・リー・クックの強い瞳が印象的でした。
(きめの細かい白い肌に黒髪がほんとにきれいだった!イライジャの肌もきれいだった・笑)
終盤の、マッゾとバーニーのシーンは滝涙。
映像も、役者さんたちの演技も、全体的に“切ない”雰囲気で、見ていると哀しいのに何か落ち着く映画でした。
ラストはちょっと腑に落ちなかったですが。
何がって挿入歌が。
今までの切ない雰囲気を壊すような曲はやめていただきたいのですが。。。